2008年10月10日

ただいま多忙につき

すみません。更新が滞っています。

とりあえず、更新が多少しやすい個人ブログをメインに書きますので、そちらをおよみださい。

2008年8月 6日

研究者を批判するのはタックスペイヤーの責任

立花さんのブログのエントリー

【閑話休題】研究者の誠実さ

にコメントを書いたのですが、途中でコメントができなくなったので(連続で投稿しようとしたので、スパムブロックされたか)、こちらに書きます。最初のコメントだけでは尻切れトンボなので。

80万人?もいる集団を「研究者」としてひとくくりにするのは乱暴なのかもしれませんよ。ブログを書いている人も一部でしょうし。

あと、「tax payer」だから、と自分を安全圏において批判をするだけというのも、ちょっとずるいと感じちゃいます。納税は義務でもあったりするわけで…もちろんtachibanaさんが行動をする人なので、口先だけじゃないことは十分わかっています。


ともあれ、ポスドク問題などは、自分たちのコミュニティで税金を使って作りだした人たちを、使うだけ使って、裸のまま社会にほっぽり出して、責任を当事者と社会に押し付けているという感があるのは事実。

使えない、と擁護もなく容赦なくガンガン批判され、拒絶されてている、かつての自分たちの仲間に対し、見ているだけなんでしょうか。

#研究に敗れた敗残者とでも思っているのでしょうか。
#そうだとしても、社会に人材を出した責任はあるはず。

研究の不正問題も含め、社会の厳しい目にさらされ始めていることは事実で、それにどう誠実に向かい合うかというのは重要な問題だと思います。

最近日本学術会議が出した基礎科学に関する提言
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t60-3.pdf

では、その萌芽がみられますが、具体的なところに乏しく…

研究者コミュニティに鋭く厳しい、かつ説得力のある批判を繰り返していくのは、tax payerの義務だと思います。お互いがんばりましょう。

2008年8月 1日

なぜ没になったか~新聞に載せることの意義

 続き。

 「博士の意識をかえよう」という原稿は没になった。理由は「それでは研究を道楽としてやっているとしか思えないから、社会の共感は得られない」という感じのもの。

 そこで、以下のような原稿を書いた。

理工系博士の就職難 日本の科学技術の危機だ

 理工系の博士号取得者の就職難が言われて久しい。

 大学院を終え、博士号を取得した研究者の多くは、任期つきの研究員(ポスドク)として、いわば「契約社員」のように働く。不安定な立場だが、大学や公的研究機関の研究を担う戦力として活躍している。現在ポスドクの数は1万5千人を超えている。

 だが常勤の研究職は限られており、一人の募集に数百人もの応募者が殺到することもある。このため、ポスドクを繰り返さざるをえない者が増え、ポスドクの10%は40歳以上だ。他の職種に転職しようとしても、ポスドクは専門に固執しすぎて柔軟性がない、といった評価が広まり、ポスドクを毎年採用している企業は1%に満たない。年齢が高くなると、ポスドクの募集すら減ってしまう。

 私が主催するNPOのもとには、来月任期が切れるが、次の職が見つからないといった悲痛な声が寄せられている。

 政府もさまざまな施策を行っているが、就職難の解決には程遠く、ついに政府はポスドクは5年以内に限り、それ以降の支援は打ち切るとの方針を出した。現在就職難にあえいでいるポスドクはそもそもポスドクと呼べない、と定義し、問題をなかったものにしようとしている。

 私は、このままでは日本の科学技術研究は壊滅的な打撃を受けると危惧する。

 博士号を取得しても職に困り将来の展望が見えないのなら、優秀な人材の多くが大学院進学をあきらめ、やがて科学技術を担う人材が不足するだろう。実際東京大学理学部の大学院では、平成19年に博士課程が定員割れした。

 また、万能細胞の研究のように、医療や環境などの先端科学技術研究は現在厳しい国際競争にさらされており、高度な技能や知識を持った人材が必要とされている。高齢化や食糧問題など、解決すべき問題は多く、諸外国の政府機関や企業はポスドクを大量雇用している。しかし、日本ではポスドクを活用するどころか、切り捨てようとしている。

 最近政府は留学生を30万人に増やし、高度技能を持った人材を積極的に受け入れる方針を示した。国籍を問わずすぐれた人材を活用するのは当然だ。しかし各国間で人材獲得競争は激化しており、期待通りの人材が集まるとは限らない。これで競争に勝てるのだろうか。
 
 将来の科学技術のために、そして、今直面している科学技術の国際競争に対応するために、今関係者は立場を超えてポスドクの活用法を考えるべきだ。
 
 ポスドクを一人育成するのに一億円もの費用がかかるという試算もあり、国内にいるポスドクを活用しないのはもったいない。長らく研究に従事し、最先端の知識、技能を身につけたポスドクの能力は、様々な場面で役立つはずだ。ポスドクを雇用した経験のある企業はその能力に満足しているという調査もある。また、最近秋田県がポスドクを理科教員として採用し、好評だと聞く。様々な職種でポスドクをもっと積極的に活用すべきだ。

 資源に乏しい日本では、人材こそ資源だ。おりしも超党派で提出された研究開発力強化法案が国会で成立した。この法律では、ポスドクの積極活用が明記されている。この法律の成立を契機に、ポスドクの能力が社会に有効に活用されることを願う。


 掲載バージョンにかなり近づいてきた。これ以上は、掲載バージョンそのものになってしまうので、公開できるのはここまで。


 NPO内部でもかなり議論になった。


 企業に博士を押し付けるような解決策に共感は持てない。

 関係者が誰だかわからない。
  これでは駅前で労働環境の改善を!と言っている組合の人たちのシュプレヒコールと同じ印象をもってしまう

 限られた専門性だけでは使えない
  コミュニケーション能力や俯瞰力が必要だ

 外国で博士が使われている実態をもっと協調すべきだ


 とくに、博士の能力自体にふれるか、という点は大きな議論になった。

 周りに使えない博士を見ているから、とても博士を役立てようとは思わない。博士がプラスαの能力を身につけるべきだ、ということはいうべきだ、と。


 記者の方とのやりとりでは、博士の資質のことはよくわかるが、現段階ではその前の段階、問題を認識させたり、門前払いをしないで採用してもよいと思ってもらう段階にある、ということで、そこはあまりふれないということになった。

 ただ、それではあんまりなので、

「博士研究員も自ら積極的に活躍の場を求め、その状況に適応しつつ能力を発揮してほしい」

という一文をいれてもらった。


 また、
●博士課程を出てポスドクになる割合
●関係者とは誰か

を調べるように言われた。

 博士を出てポスドクになる割合は、調べたのだが調査がなかった。正確な調査がなされていないようだった
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/020/chukan-hokoku.pdf

奥井さんの古いデータ
http://hakasenoikikata.com/posdoc_report01.html

http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/haihu08/siryo3-2.pdf
約18%。

を参考に、1/4とした。

 なお、一億円の話は、フューチャーラボラトリ橋本さんの資産だが、本当か、という批判が多数あり削除。


 いろいろなやり取りを通じて、新聞に文章が掲載される意義を考えさせられた。

 読む人は誰か…博士の問題を知らない一般の人?
 掲載される価値のある文章とは…社会の多くにかかわる問題

 いろいろなやり取りを通じて、当事者が動こう、という私の今までの持論(共産党の会でも強調した)はとりあえず置いておいて、社会が変われ、という、ちょっと他力本願な話なった。

 ただ、「職をくれ」を強調しているのではなく、「活用しないともったいないよ」という、ポジティブな面をなんとか出そうとした。

 前にも書いたが、「博士?なんやそれ?そんなのあっちいけ!」から、「へえ、博士かい、ちょっと会ってみようかな」という雰囲気をまずは作りたい。

 昨今の博士議論は、あまりに博士の価値を暴落させすぎているように思う。そこまで使えないかい?

 もちろん変なやつはいるけれど、東大卒だって使えない人はいるだろう。

 だから、博士というちょっと変わっているけれど、それなりに使いようがある人たちがいること、それがちょっと不遇なこと、せっかくだから使うとお得だよ、ということを広く認識させたい。

「●●と博士は使いよう」

 これに納得がいかない、という人が多々いるのは承知している。とくにふだんから博士に接している人は、今更何を、と思うだろうし、周りの同僚の変なやつの顔を思い浮かべて、あんなのばかりじゃ社会は成り立たない、と思うかも知れない。

 博士の能力が不必要な分野はたくさんあるし、そこに無理やり博士を押し付けようとは思わない。

 ちょっと場を与えれば力を発揮し価値を生み出すかもしれないのだから、その場を作るほうが得ですよ、と言いたい。

2008年7月31日

もう一点 産総研のメルマガには…

 朝日の投稿に直接答えてなくてすみません。


 とりあえず、もう一点だけ。

 私は、Dr’s イノベーション メールマガジン(産総研)
http://unit.aist.go.jp/humanres/ci/phd-career/mailmag/mailmagazine-no9.html

 では、

ポスドクは忙しい。研究以外のことをする暇 などない。あるいは研究以外のことをすればクビになるかもしれない。

ただ、もし他人が何かしてくれる、と思って黙っているだけだったと
したら、考え方を変えたほうがいい。

ポスドクの就職が問題だ、と言ったところで、ポスドクは公式には1万
5千人しかいない。公式データにはない「隠れポスドク」もいるが、
それを合わせても、人口の1%にはるかに満たないだろう。

ポスドク問題は、社会の中のマイノリティの問題なのだ。これは認識
しなければならない。

 と書いた。朝日と全然違うことを言っているじゃないか、と思われると思うが、これは媒体によって誰を対象にしているかということ。


 朝日はポスドクという言葉すら聞いたことがない、当然ポスドクなど接したこともない、しかもあまりウェブなども見ないといったような一般市民対象。

 そうなると、まずは問題を知ってもらおうということになり、ポスドクの中にも変なのがいるとか、そういう話は「故意に」外した。まずはきっかけとして。

 一方産総研は、ポスドク相手なので、ポスドクが動け、みたいなことを強調した。


 私は、ポスドク問題をすべて社会、政治のせいだ、などとは思っていない。

 だから、ポスドクを企業が雇うのを義務付けろ、ということは支持しない。

 そうではなくて、ポスドクの能力を生かしたほうが社会のためになるんじゃないか、と考えている。

 また時間切れ。ここまで。

優秀なら仕事を見つけられる論に思う

本日もちょっと仕事が逼迫しているので、丁寧なレスができないけれど…

ポスドク問題を語るとよく言われるのが

「博士を出たくらい優秀なら、自分で道は見つけられる」

というもの。何度いわれたことか。


私は博士=優秀なんて思ってない。


「優秀」をどうとらえるのか、という問題だが、社会でやっていけるスキルと定義するのなら、優秀じゃない。


まあ、博士をマルチ能力の資格、と認識されているのなら、それはありがたいことではあるけれど…


優秀なら仕事は見つかる…確かにそういう面はあるだろう。そういう人は実際にいて、どの世界でも頭角をあらわす。それは心配していない。

ただ、能力はあるのにコミュニケーションやアピール力に欠けるとか、そういう人が生きる道があるといいのかなと思う。フューチャーラボラトリの橋本社長によると、そういう人は6割くらいだという(日経BTJジャーナル2007年7月号)。


具体的には、田中耕一さんみたいな人。田中さんは飛びきり優秀だから、あくまでみたいな、でとどめるが、エンジニアとか、一つのことに秀でた能力を持っているが、自分からその能力を生かす場を見つけられない人というのがいると思うl。

そういう人は、場が設定されれば生きる。場というのは、ある実験機材があるところだったりする。


実験機材というのはどこにでもあるわけじゃないから、それを見つけられなければ、能力が生かされないということになる。

#「優秀ならば仕事が見つかる」と言っている人は、機材に依存しない(自分自身のスキルに大きく依存する)お仕事をされている方が多いような気がする。


社会の視点からみれば、そういう能力を生かしたほうがいいんじゃない、と思う。適材適所ということ。

もちろん個人的視点からみれば、一つにこだわらず広く活躍の場所を求めたほうがいいんじゃないと思うが。

#ポスドク問題は個人的対応と政策的社会的な対応をわけて考えたほうがいいと思う。

そういう人がとりあえず、門前払いをされず、せめて就職試験を受けられるようになることが、まずの目標。それ以降は個体差の問題。


城繁幸氏は、日本企業が博士を採用しない理由は年功序列だ、と言っている。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17090/2615701#2615701


だが、どんなに大学や学生の尻を蹴っ飛ばしても、企業という最大の受け皿自身が変わらなければ、現状が大きく変わることは無いだろう。


こういう社会慣行は、そうは変わらないと思うが、まずは博士はダメ、というイメージを変えたいわけで。

市場価値を高めるというか。とりあえずまずは「博士、いいね、会ってみようか」と言ってくれる社長さんが増えることを願う。


そののち「こいつつかえねーや」となってもいいけれど、博士だから使えない、じゃなくて、博士でも使える人もいればそうでない人もいる、というレベルにはなってほしい。


#もちろん他の資格とちがって「博士」をもっていたからどんな能力があるか、というのが見えにくいという問題もあるのだけれど。


とりあえず時間なので。ここまで。

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名前:榎木英介(ペンネーム深島守)
職業:NPO法人サイエンス・コミュニケーション(サイコムジャパン)の代表理事です。本職は医師(病理専攻医)です。メールはこちらまで。

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